2026/04/21 09:00
「美味しい」って、何だろう。
柑橘を扱うようになってから、
以前よりもずっと、この言葉について考えるようになりました。

甘ければ美味しいのか。
酸味があれば印象に残るのか。
きっとどれも正解で、でもどれも正解じゃない。
人によって好みは違うし、
その日の気分や体調でも感じ方は変わります。
だからこそ、
「誰かの正解」を追いかけるのではなくて、
わたしの中にある基準を大事にしたいと思うようになりました。
わたしが大切にしているのは、
「もう一口食べたくなるかどうか」です。
一口目のインパクトが強いものも魅力的だけれど、
それだけで終わってしまうものではなくて、
気づいたら、もう一つ。
もう一口、と手が伸びてしまうような味。
食べ終わったあとに、
重たさが残るのではなくて、
すっと引いていくような後味。
甘さも、酸味も、香りも、
どれか一つが強すぎるのではなく、
全体として“ちょうどいい”と感じられるバランス。
それが、わたしの中での「美味しい」です。
正直に言うと、
わかりやすく甘いものの方が、
「美味しい」と言ってもらいやすいこともあります。
見た目が華やかな方が、
手に取ってもらいやすいこともあると思います。
それでも、
そこだけを追いかけるのは違うなと感じています。
一度食べて終わりではなくて、
何度も食べたくなるもの。
日常の中に自然と馴染んで、
気づけば当たり前のように選ばれているもの。
そういう存在でありたいと思っています。
今試作しているジャムも、同じです。
甘さを強くすれば、
それなりに“美味しく”は仕上がります。
でも、それだと
わたしが目指しているものとは少し違う。
少し地味に感じるくらいでもいいから、
毎日でも食べられる味。
食べるたびに、じんわりと良さが伝わるようなもの。
そんな仕上がりを目指しています。
「美味しい」の感じ方は人それぞれだけれど、
もしこの基準に少しでも共感してもらえたら、
きっと同じように、
「いいな」と思ってもらえるんじゃないかと思います。
派手さはないかもしれませんが、
食べ続けるほどに良さがわかるものを。
そんなものを、これからも丁寧に作っていきます。