2026/06/10 15:00
「新商品って、どうやって考えているんですか?」
時々、そんな質問をいただくことがあります。
特別なマーケティングがあるわけでも、
流行を追いかけているわけでもありません。
わたしの商品づくりのスタートは、
とてもシンプルです。
“自分が食べたいものを作る”
ここが原点です。
もちろん、ただ好きなものを作るという意味ではありません。
「もうちょっとこうだったらいいのに」
「こういう味、ありそうでないな」
「甘い方が好きだな」
「香りがもっと自然だったらいいのに」
そんな、小さな違和感や理想から始まることが多いです。
お店に並んでいるものを食べながら、
「美味しいけど、自分ならもう少し軽くしたい」
「もう少し素材の香りが活きたら好きかも」
そんなふうに考えることがあります。
不満というより、
“あと少し”を形にしたい感覚に近いのかもしれません。
レモンも、実はそうでした。
レモンって買うけれど、
気づくと冷蔵庫の中で余ってしまうことがありませんか。
料理に少し使って、
あとはなんとなくそのまま。
「使いたい気持ちはあるのに、毎日は使いづらい」
そんな感覚が、ありました。
だったら、
もっと自然に、毎日使いたくなるレモンの形があったらいいのに。
そう思ったのが、「れもかじゅ」を作るきっかけのひとつです。
酸っぱすぎない。
でも、ちゃんとレモンの香りは残る。
特別な日だけではなく、
朝の炭酸やヨーグルト、料理にも自然に使える。
「これなら続けられる」
そんな“日常のレモン”を目指しました。
もうひとつ、実は少し苦手なものがあります。
レモンの皮が主張しすぎるもの。
香りは好きです。
でも、皮の苦味が強すぎたり、
食感が前に出すぎると、少し気になってしまう。
「もう少し自然だったらいいのに」
と感じることがありました。
だから自分が作るものは、
香りはしっかり感じるけれど、
強すぎないバランスを大切にしています。
レモンを主張させすぎるのではなく、
“また食べたくなる感じ”を残したい。
派手ではないけれど、
気づくと手が伸びる。
そんな味が理想です。
れもんバター食パンも、同じ考えから生まれました。
レモンの皮を使いながらも、
苦味や食感が強く出すぎないように。
発酵バターのコクと合わせながら、
香りがふわっと残るくらいのバランスを探していきました。
「レモン感!」と強く押し出すというより、
食べ終わったあとに、
「なんかまた食べたくなるな」と思えるくらい。
その“ちょうどいい”を探しながら、少しずつ形にしています。

でも、商品づくりは自分だけで終わりではありません。
大事にしているのは、
“自分が嬉しいことを、お客さんにも”
という感覚です。
「こんなの欲しかった」
「ちょうどこういうの探してた」
「これなら毎日使いたくなる」
そんなふうに思ってもらえたら嬉しい。
自分が感じた“もう少しこうだったらいいのに”を、
お客さんの「欲しかった」に変えていく。
商品開発って、
実は特別なことではなくて、
日常の小さな気づきから始まるものなのかもしれません。
そして、個人でやっているからこそ、
小さな「こうだったらいいのに」にも、できるだけ応えたいと思っています。
「もう少し甘さを控えたい」
「香りをもう少し強くしたい」
「こういう素材と合わせたい」
大きな工場のように大量生産はできません。
でも、小回りがきくことは、自分たちの強みだと思っています。
一緒に話しながら、
少しずつ理想に近づけていく。
「こんなの作れますか?」
「こういうものが欲しいんだけど」
そんな相談も、気軽に声をかけてもらえたら嬉しいです。
自分が“食べたい”と思えるものを作るように、
誰かの「こんなの欲しかった」も、一緒に形にしていけたらと思っています。