2026/07/07 14:00
今ではスーパーに並ぶのが当たり前になったレモン。
料理やお菓子、お酒など、私たちの暮らしにすっかり溶け込んでいます。
このレモンがどこから来た果物なのか、考えたことはありますか?
レモンのルーツは、現在のインド北東部から中国南部にかけての地域と考えられています。
そこから長い年月をかけて中東へ渡り、さらにヨーロッパへと広がりました。
大航海時代には、長い船旅で不足しがちなビタミンCを補う果物として重宝され、多くの船乗りたちを支えたともいわれています。
その後、世界各地で栽培されるようになり、現在ではアメリカやイタリア、スペイン、アルゼンチンなど、多くの国でレモンが育てられています。
日本にレモンが伝わったのは明治時代です。
海外から苗木が持ち込まれ、各地で試験栽培が始まりました。
しかし、日本全国のどこでも育つわけではありませんでした。
レモンは寒さに弱く、温暖な気候を好む果樹です。
そのため、瀬戸内海沿岸の穏やかな気候が栽培に適していることが分かり、少しずつ産地が広がっていきました。
特に広島県では栽培が盛んになり、現在では全国有数の国産レモンの産地として知られています。
その後、昭和後半になると海外から安価な輸入レモンが多く入ってくるようになり、国産レモンの生産は一時大きく減少しました。
価格では海外産にかなわず、栽培をやめる農家も少なくありませんでした。
しかし近年、状況は少しずつ変わっています。
「皮まで安心して使える国産レモンが欲しい。」
「香りの良いレモンを選びたい。」
そんな声が増え、国産レモンが再び注目されるようになりました。
パンや焼き菓子、お菓子づくりでは果汁だけでなく皮まで使うことが多く、香りや品質を重視する飲食店や菓子店でも、国産レモンが選ばれる機会が増えています。
実は、「レモン」と一言でいっても、品種はいくつもあります。
日本で多く栽培されているのは、リスボンとユーレカという品種です。

リスボンは香りが豊かで酸味もしっかりしており、丈夫で育てやすいことから世界中で栽培されています。
一方のユーレカは果汁が豊富で形が整いやすく、生食から加工まで幅広く利用されています。
品種が違えば、香りも、酸味も、皮の厚さも少しずつ異なります。
さらに同じ品種でも、収穫する時期によって味わいは変わります。
収穫が始まる頃のグリーンレモンは、青々しく爽やかな香りとキレのある酸味が魅力です。
そして木の上でゆっくりと熟した完熟レモンは、酸味がまろやかになり、香りにもやさしい丸みが生まれます。
どちらが優れているということではなく、それぞれに違った魅力があります。
私自身、レモンを扱うようになってから、「レモンはどれも同じではない」ということを日々感じています。
その年の天候、畑の環境、収穫のタイミング。
さまざまな条件が重なり、一つひとつ違った表情を見せてくれます。
だからこそ、毎年同じようでいて、同じレモンはありません。
海外から日本へ渡り、瀬戸内の気候に根付き、多くの生産者によって受け継がれてきたレモン。
その長い歴史の先に、今、私たちが育てているレモンがあります。
一つのレモンにも、長い年月とたくさんの人の努力、そして自然の恵みが詰まっています。
そんな背景を知っていただくことで、いつものレモンが少しだけ特別な存在に感じてもらえたら嬉しいです。